大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

横浜地方裁判所小田原支部 昭和49年(ワ)134号 判決 1976年10月29日

原告

株式会社ソガ電機

被告

小島英裕

主文

被告は原告に対し、金一七万三六五〇円及びこれに対する昭和四八年三月一七日から右完済まで年五分の割合による金員を支払え。

原告のその余の請求(申立第一項の本位的申立、第一次的予備的申立並びに第二次予備的申立のその余の部分及び申立第二項のその余の部分)を棄却する。

訴訟費用はこれを五分し、その一を被告の、その余を原告の各負担とする。

この判決は第一項に限り、原告において金五万円を担保に供するときは、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の申立

(原告)

一(一)  本位的申立

(1) 被告は原告に対し、原告所有の自動車マツダニユーボンゴ一、〇〇〇(相模四四に三八七)と引換えに金五四万〇一八〇円を支払え。

(2) 被告は原告に対し金四四万〇八〇〇円およびこれに対する昭和四八年三月一七日から完済まで年六分の割合による全員を支払え。

(二)  第一次予備的申立

(1) 被告は原告に対し、原告所有自動車マツダニユーボンゴ一、〇〇〇(相模四四に三八七)と引換えに、同車と同型式の自動車の新車を引渡せ。

(2) 右(一)の(2)と同旨、

二  第二次予備的申立

被告は原告に対して金八七万〇九八〇円及びこれに対する昭和四八年三月一七日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

三  訴訟費用は被告の負担とする。

との判決並びに一の(一)、(二)の各(2)及び二につき仮執行の宣言を求める。

(被告)

原告の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

との判決を求める。

第二原告の本位的申立の請求原因

一  原告は、家庭電器製品の販売を業とする会社である。

二  原告会社の従業員福田高志は、昭和四七年一二月一日午後五時二五分ごろ同社が営業用として購入し使用している同社所有の自動車(相模四四に三七八、マツダニユーボンゴ一、〇〇〇、以下本件車という)を通称巡礼街道の小田原市鴨宮七四七番地先路上を、飯泉橋方面に向つて左側歩道に接して停車中、たまたま同日時ごろ被告の運転する普通乗用自動車(相模五五そ六三八七)が国府津方面に向つて時速約六〇キロで走行中、前記道路(幅約八米)の中央線を越えて反対側進行路に突入してきたため、同道路上を小田原方面に向けて進行中の訴外石井義昭運転の乗用自動車(相模五む六九六六、ロータリークーペマツダ)に正面衝突したので、同車が反転し、前記停車中の原告所有車の正面に反転の同車を激突させ、原告所有の前記車の前部を破損せしめた。

三  原告所有の本件車は、前記事故の発生した昭和四七年一二月一日の前日である同年一一月三〇日に株式会社湘南マツダ(以下湘南マツダという)より代金五四万〇一八〇円で購入し、事故発生日に使用し始めたばかりの新車であつた。そこで同会社は「購入したばかりの新車の前部が破損されたので、直ちに別の新車を購入して貰いたい」旨被告方に申し入れたが、被告側は「修理をすれば六万円程度で使用できる」旨主張して、原告の右申し入れに頑として応じようとしない。

原告としては、購入の当初に事故に遇い被害を被つた車両を使うことは、商売をする者にとつて気分的にも縁起が悪いので、その旨を被告に伝え、直ちに新車購入を申込めば、修理費程度に若干の金員を加算し、本件事故車両を下取りにとることで新車と交換できる旨再三に亘つて被告方に申し入れたのであるが、被告は遂にこれを応ずる気配すらなく、一切の弁償をしなかつた。

四  原告は、本件車が完全新車と同性能に修復できるならば修復することも差支えないと考えていたのであるが、本件事故車両を購入元である前記湘南マツダに交渉し、完全に新車同様に性能外形共修復できるか、どうかを確めたところ、同社から外形はともかく、性能は新車同様には回復しない旨の回答を得た。

もし、原告が自動車購入後少くとも一カ月以上の使用をなしていたのであれば、修理代金を貰うか或は修復さえして貰えば、原告側としても異議をいうことはなかつたのであるが、前日買つたばかりの車両を原告側に何らの過失なくして事故により損傷車とされ、しかも市場価額が金一一万円程度に低下するとなれば、心理的な面においても修理して渡すから我慢しろということでは、どうしても納得できないところである。

五  前記事故により原告は、本件車を少なくとも三カ月間は使用不能であつたのであるから、左記のとおり、事故発生に伴う諸経費、現場よりの車の除去費及び三カ月間の代車使用料合計四四万〇八〇〇円の損害を蒙つた。内訳は左記のとおりである。

(一)  事故発生に伴う諸経費

現場よりの車、除去費等 金三万八〇〇〇円

(二)  昭和四七年一二月分代車使用料

一日五三〇〇円、二七日間 金一四万三一〇〇円

(三)  昭和四八年一月分代車使用料

一日五三〇〇円、二四日間 金一二万七二〇〇円

(四)  同年二月分代車使用料

一日五三〇〇円、二五日間 金一三万二五〇〇円

六  そこで、本位的申立のとおりの請求をする。

第三第一次予備的申立に対する請求原因

一  昭和四七年一二月七日夜原告会社専務取締役曽我軍造が、社員福田及び湘南マツダの社員江川を伴つて被告方を訪問し、被告の両親即ち被告の父及び母に対して、本件車は購入した翌日に本件事故により損壊されたのであるから、本件車を引取るなり下取りにするなりして、新車を交付して貰いたい旨を述べたところ、被告の両親と前記江川との間において本件事故車を修理の上下取りに出して新車を原告に渡すことについて話合いが行われた。

二  それから数日後(同年一二月中旬)被告の父の小島啓助から原告に対して電話で「事故車を直して下取りに出したいので、事故車を湘南マツダに出してほしい。」との申入れがあつた。そこで原告会社専務取締役曽我軍造は「新車を入れてくれるのですね。」と念をおしたところ、被告の父が「そのとおりである。」と答えたので、右確認により安心して本件車の鍵を受取りに来た湘南マツダの社員に渡して、本件車の占有を被告に移したのである。

三  このように、当時被告の親権者であつた父が同親権者母の同意を得て被告人の法定代理人として、昭和四七年一二月七日の原告の同人らに対する新車を渡してほしい旨の申入れを受入れて承認し、本件事故車を被告の法定代理人の指示する湘南マツダに移転し、被告或は被告の法定代理人の占有するところとなつたことは、前記承認、或は、事実行為による承諾によつて、被告と原告間に本件事故車と引換えに同型式の新車を交付すべき旨の和解契約が成立したものである。

四  よつて、被告は、原告に対して、本件事故車と引換えに新しい同型車両を交付する義務を負うものである。

五  その余の主張については前記本位的申立の請求原因事実第二の五と同一である。

第四第二次予備的申立についての請求原因

一  本件車は原告が、右事故の発生した昭和四七年一二月一日の前日である同年一一月三〇日に、湘南マツダより代金五四万〇一八〇円で購入したもので、事故後の昭和四八年一月三〇日に財団法人日本自動車査定協会神奈川県支所の右同日における市場価格の査定を求めたところ、金一一万円である旨の査定を受けた。そこで原告は前記被告の過失による交通事故によつて、車両の減価額四三万〇一八〇円の損害を蒙つたことになる。

二  その余の点については本位的申立の請求原因事実第二の五と同一である。

三  よつて原告は被告に対し、合計金八七万一六〇〇円及びこれに対する昭和四八年三月一七日から完済まで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

第五被告の答弁

一  本位的申立の請求原因事実に対する答弁

(一)  請求原因第一、二項記載の事実は認める。

(二)  同第三項中、「購入したばかりの新車の前部が破損されたので、直ちに別の新車を購入してもらいたい」旨の申入れがあつたことは認める。

本件車両が原告主張のころ、原告主張の代金で購入し、事故発生日に使用し始めた点は不知。

その余は否認する。

(三)  同第四項は不知。

(四)  同第五項は争う。

二  第一次並びに第二次予備的申立の請求原因事実に対する答弁いずれも争う。

三  被告の主張

(一)  原告は本件車両が本件事故の前日購入し、事故当日に使用し始めた「新車」であるとし、商人としての縁起をかつぐことを理由として、新車の購入を固執するものである。

(二)  本件車両の修理費用は、自動車車両損害保険鑑定人奥村信明の鑑定によれば、金六万四六五〇円である。

(三)  自動車の破損の場合、一般に新車の毀損の部位程度によつて一応修理は可能であつても、なおかつ全体的に歪みや打撃を受けている等のために新車としての完全性が大きく損われ、前記の評価損(新車といえども、一旦登録されてしまうと、事故の有無に関係なくその取引価格は大きく減殺されることをいう)を加害者に負担させても、なお被害者に新車を回復させるのが社会通念ないし衡平の見地から妥当と考えられる場合に限つて、新車ないしその価額による填補賠償を認めるのが相当というべきところ、前述のとおり本件車両の毀損の部位程度は極めて軽微であり、金六万四六五〇円の費用で修理は完全に可能である。他の新車で代置することによる填補賠償を認めることは相当でない。

(四)  被告は、本来右修理費用の支出をもつて足るところ、原告の主張を勘案し、出来る限りの誠意を示して、金一二万円の支払案を提示したものである。しかるに原告は、あくまで新車の購入に固執し、本件車両を被告方に放置する等の処置をとつた。

従つて、原告請求の代車使用料についても、その期間は長期にすぎるものであり、本件事故と相当因果関係ある損害とはいい得ない。

被告は、本件車両に対する修理に必要な期間に限り、代車使用料を認めるものである。

第六証拠〔略〕

理由

一  原告の請求原因一、二項の事実は、当事者間に争いのないところである。

二  先ず、本件自動車の損傷による損害について、

(一)  右の点に関する本位的申立並びに第一次予備的申立について

成立に争いのない甲第一号証、乙第一号証の一ないし四並びに証人村山季義、同曽我軍造の各証言によれば、原告は本件自動車を昭和四七年一一月三〇日湘南マツダから買受けたもので、代金は領収書には金五四万〇一八〇円となつているが、これはいろいろなものを付けたためであつて、実際は金五〇万円であること、買つたその翌日に本件事故に遇つたもので、事故に遇うまでに三〇ないし五〇キロしか乗つていなかつたこと、損傷はフロントバンバー・フロントロアパネルの右側フロントグリル、ライト枠等がへこんだ程度であるが、車の機能には何ら影響がないもので、これを修理するとすれば金六万四六五〇円を要すること、しかし修理しても専門家が見れば、損傷のあとは見分けられること、原告は本件事故後被告の父小島啓助と交渉したが、その時啓助の方では車の修理をさせて欲しいと頼んだのに対し、原告は新車に替えろといつて譲らなかつたこと、以上の事実を認めることができ、これに反する証人曽我軍造の証言部分は措信できない。

ところで、車の損傷について、原告は事故車と引換えに、本件車の代金相当額或は同型式の新車の引渡しを求めているが、事故後すでに四年近く経過しているし、その間使用されずに放置されていればなおのこと、使用されたとしても、その車の価値は殆んど失われたものというべきである。そうすると、これと引換えに購入時の代金相当額を要求するのは、車が大破のために修理不能或はそれに準ずる場合の損害賠償を求めるに等しく、本件のように修理が可能であり、しかも車の代金五〇万円であるのに比し、修理代金が金七万円に満たない程度の損傷の場合には、明らかに均衡を失し、社会常識から考えても不当であつて許されるべきではない。

さらに原告は被告との間に本件事故車と引換えに同型式の新車を交付すべき旨の合意があつた旨主張し、これに沿う証人曽我軍造の証言があるが、証人小島啓助の証言と対比するときは、たやすく措信できず、他に右主張を認めるに足りる証拠はない。

なお、我国の法制として不法行為に基づく損害については、金銭賠償の支払が原則であつて、それ以外の請求をなしうるのは、特に法律に規定がある場合に限られている。

しかるに本件では原告は、民法上の不法行為による損害賠償の請求をするものであるところ、民法には名誉毀損以外は金銭賠償についての例外は認めていないから、新車の引渡しを求める原告の請求は認められない。

(二)  第二次予備的申立について、

証人村山季義の証言によれば、通常新車が販売されて、ナンバープレートが付けられた場合(中古車となつた場合)、たとえ全く使用されなくとも、約二〇%位評価が下落するもので(いわゆるナンバー落ち)、本件車のようなコマーシヤルベースカーの場合は、さらに下廻り約二五%は評価が下がること、本件車はこれを修理した場合の価格は金二十二・三万円で、マージンを入れると金三十二・三万円になること、以上の事実が認められる。(但し甲第七号証及び右証人の証言中に、昭和四八年一月三〇日の時点における本件車の評価が金一一万円であるとの記載並びに供述があるが、前記認定のような損傷の場合に五〇万円の価格のものが、実質的価値が金一一万円に下がるということは常識的に考えて納得しえないところである。たしかに事故車を修理しないまま店頭に陳列した場合、買手が少い点を考慮して、市場価値が低くなることは理解しうるとしても、損害算定の基準としては、極端な市場価格や人気価格をそのまま取り入れることは適当ではないので、右の評価は採用しない。)

ところで、右のナンバー落ちによる価値の下落は、本件事故のあるなしに拘らず生ずるものであるから、右の価値の下落は被告の責任でないことは明白である。

そして、物的毀損による賠償の中に修理費が入ることは論をまたないところであるが、しかし修理によつて完全に価値が回復される場合は、それのみで足りるが、修理をしてもきず痕が残つたり、機能的障害が残る等、評価上損失がある場合には、価値の下落分をも合算して賠償せしめなければ完全な損失を回復したことにはならない。ところでその評価損は、本件の場合ナンバー落ちした価格と修理完了した価格との差額ということになる。そこで右の認定事実によると、本件車の価値が金五〇万円とすると、ナンバー落ちが二五%であれば、その価値は金三七万五〇〇〇円となる。そして本件車が修理された場合の価格は、マージン抜きなら金二十二・三万円で、マージンを入れて金三十二・三万であるというのであるが、そうすると、マージン抜きの価格が車の実質価値のようにも受取れるが、しかし実際はそうではなく、業者として取引する場合は金三十二・三万でなされるという意味に解すべきであつて、前記ナンバー落ちした場合の価格も同じく業者としての相場価格をいつたものである。そうだとすると、右ナンバー落ちの価格とマージンを含めた修理後の価格の差額が評価落ちの額ということになるから、これを多く見積つても金五万五〇〇〇円ということになる。

従つて、これに修理代金六万四六五〇円を加算した金一一万九六五〇円が、本件事故による車の損傷による損害額となる。

三  事故発生に伴う諸経費、代車使用料等について

(一)  先ず代車使用料について、

成立に争いのない甲第九号証の一及び証人小島啓助、同曽我軍造(後記措信しない部分は除く)の各証言によれば、右啓助は息子の被告が起した本件事故により被害の大きかつた石井の方に対する処置に気を奪れていたので、被害の軽微な原告の車の損傷に対する弁償の話をするのが遅れていたところ、原告は被告の方から何もいつてこないのにしびれを切らして、昭和四七年一二月五日被告宅に電話したので、その夜啓助の方から原告方を訪れたが、曽我軍造(原告会社は実質上同人の経営である)がいなかつたので、翌日六日曽我の方から啓助の家を訪れたこと、その際啓助の方では、車を修理させて欲しいと述べたのに対し、曽我の方では本件車は事故の前日に買つたばかりであるし、新車をおろしたばかりで事故に遇つたことは、縁起が悪いから新車に替えてくれ、事故車は渡すから被告の方で使えといつて、話が少しも進展しなかつたこと、その後も原告の方では新車を固執して譲らないので困つて、啓助は同月一三日湘南マツダに本件車を修理してくれるよう依頼し、湘南マツダの方から原告の方に行つて車を運んで来たのであるが、湘南マツダでは原告が車の修理に反対していることが判り、持主の了解がなければ修理はできないと断つたこと、啓助は同月二九日原告に対して内容証明郵便で、修理代とお詫びの気持を含めて金一二万円で解決して欲しいとの意思を表明したが、原告は翌三〇日に啓助の家に本件車を持ち込んで、そのまま置いて帰つてしまつたこと、そこで啓助の方では調停を申立て、調停は四回位開かれたが、結局原告の方では新車に取替えろといつてきかないため不成立に終つたこと、以上の事実が認められ、右認定に反する証人曽我軍造の証言部分は措信できない。

本件の場合、新車の請求は到底許されないことは、前記認定のとおりであるところ、原告においてあくまでも新車の引渡しに固執し、啓助の方の修理をさせて貰いたいとの要求に応じようとしない結果、修理ができないまま今日に至つたものである。従つて、当事者が話合の上修理をなし、それが完了するまでの間の原告における車両使用不能による損害については、被告の責任として本件事故と相当因果関係にあるが、それ以後は、原告の責任であつて、被告にこれを負担させるわけにはいかない。

そこで、前記認定の事実によると、昭和四七年一二月七日頃から双方の話合いがあつたのであるから、早ければその頃から修理に掛かれたはずであり、また遅くとも啓助の方で本件車の修理を湘南マツダに依頼した同月一三日には修理を始めることが可能であつたはずである。

そして右の修理は前記認定のような損傷であるならば、遅くとも一〇日もあれば十分完了し得るから、同月二二日までの代車使用料については、被告においてこれを負担すべき義務があるというべきである。

ところで、証人曽我軍造の証言により真正に成立したことが認められる甲第四号証の一によれば、原告は他から車を借りて、同月五日から二二日間、一日金三〇〇〇円の使用料で金六万六〇〇〇円を支払つていることは明白であるから、右の内同月二二日までの分として金五万四〇〇〇円については、被告は原告に対して支払うべき責任がある。

(二)  原告は、事故発生に伴う除去費用等の諸経費として、金三万八〇〇〇円を要した旨主張する。ところで、これに沿う甲第二号証によれば、事故現場より車除去費、事故後諸経費(湘南マツダ自動車小田原営業所、加害者宅訪問他)金三万八〇〇〇円との記載がある。

しかし、車の除去費については、前記認定の事実によれば、本件事故によつて車の機能的損傷がないということであるから、走行には何ら差支えはなかつたわけであり、証人曽我軍造も事故後直ちに引張つて帰つて来たと供述しており、事故の際に運転者が運転不能であつたような事実は何ら述べられていないのであるから、右の引張つて帰つて来たというのは、運転者が自ら運転して帰つて来たとの趣旨と解する外はない。そうだとすれば、除去の費用はとりたてて必要としないはずである。また湘南マツダや加害者宅訪問の費用等は、特段の事情のないかぎり、事故と相当因果関係はないし、本件では大した費用が掛かる事案ではないから、特段の事情に入らない。従つて右の点は損害とは認められない。

(三)  ところで、原告の本位的申立並びに第一次予備的申立の各(2)では、その遅延損害金として年六分の割合による支払を求めているが、右の請求は不法行為に基づくものであるから、民法所定の年五分の割合による遅延損害金以上のものを認めることはできない。

四  以上のとおりであるから、原告の請求の内、金一七万三六五〇円並びにこれに対する昭和四八年三月一七日より右完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分は正当であるから、これを認容し、その余は失当として棄却することとし、訴訟費用の負担については民事訴訟法八九条、九二条本文を、仮執行の宣言については同法一九六条を夫々適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 安岡喜夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例